ロマン
ロマン
「や、やばいっ!もう限界が……」
ユートの杖がびきびきと音を立ててひび割れ始める。
「く、くそっ!もう少し、あと少し……」
もう駄目だと思った瞬間、僅かに身体の負担が軽くなる。呪力を持たない羅刹と、呪力を大量に消費したことで遠隔結界が張れないアシュタルは、何と結界の外側からアシュタルを通じて遠隔呪法を無理矢理使用し、羅刹が己の生命力をユートに分け与えていたのだ。
「諦めるなっ!諦めたら全てが終わるぞっ!」
羅刹が必死の形相でユートに向かって叫ぶ。
ほとんど全ての呪力を使い果たしたアシュタルの顔色は青を通り越して白く染まっている。騎士である羅刹も、ユートの体力だけでも回復しようとアシュタルを通して生命力そのものを注ぎ込む。その為に全身から汗が滝のように噴き出ている。
サンもセインも頑張っているのに、自分だけが諦めるわけにはいかない。
「あぁぁぁぁぁ!」
ユートの結界が再び強くその輝きを放ち始めた。