出い
出い
少女はそう言いながら狂ったように笑い出した。
月夜の狂笑に対し、眉間に皺を寄せるセインであったが、その表情が一瞬にして強張る。
自分の視界に洪水のように次々と映像が流れていくのだ。幻影呪法の応用であろうか。
その映像の中には『月夜』の両親が浄化の日の災厄によって死んでいく映像があった。
「そう、あたしの両親はもう死んでいるのよ。まあ、それはあたしにとってはどうでもいいんだけど」
少女は淡々と機械的に話し続ける。
「両親が死んであの子はこう思ったのよ。『街の人達を見捨てて逃げれば助かったのに』ってね」
少女は再度けたたましく笑い出した。
「そうっ!あの子はなんだかんだ言っておいて、両親の生き方を否定したのよっ!その心を認めたくなかったから『死人返り』をやっているだけなのよっ!所詮『愛する人を失って苦しむ人を助けたいから』なんて建前なのよっ!」
少女は狂ったように笑い続ける。
「そんなことに囚われずに素直に生きていけばよかったのよ。命を削りながら人を蘇生させるのなんか馬鹿げているわ」
しばらく笑い続ける少女をセインは黙って見ていた。
「しかも周りの村々の人達が、自分の『死人返り』のせいで死んで、しかもそれがこんな戦いを引き起こしたと知って、精神崩壊をおこしちゃうんだからっ!笑っちゃうわよ、ホント」
「……確かにお笑いだな」
セインが予期せぬ返答をしたので少女は笑いを止めた。
「……しかし、この戦いの原因は『死霊使い』だけにあるのではない。この街に攻めてきた俺達にも当然その責任はある」
「はっ!あんたもあの子のように善人ぶるつもり?そんな事を……」
「善人ぶっているのではない。俺は偽善者そのものだ」