ホワット

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サー7

サー7

アシュタルの右手がぶすぶすと黒煙をおこしながら火に覆われはじめる。

しかし、アシュタルは光球から手を離さずに、目を閉じたまま精神を集中させる。

「待っていろ……絶対助けてやるからな」

アシュタルの手に覆われていた火が、腕にまで達し、彼の体を焼き尽くそうとする。その瞬間、アシュタルの目がカッと開かれると同時に、青い閃光に覆われた槍が彼の左手に出現する。そしてアシュタルはその槍を光球の外周に突き立てる。

結界に突き立てた槍から更に呪力を送り込み、光球の外周を破壊しようとする。

「おぉぉぉぉぉっ!」

アシュタルの肉体は、光球から逆流してくる結界の呪力によって刻一刻とその体力を奪われていく。彼が纏っている黒衣は呪力に対し、かなりの耐性があるのだが、その黒衣も原形を留めていない。

「砕けろっ!」

死力を尽くして呪力を結界に流し込んだ次の瞬間、結界に僅かな大きさではあるが穴が生じた。 その僅かな隙間にセイン、ユート、サンが滑空し、結界内に入り込んでいく。

「くそ……あんな奴等に……」

しかし、もうセイン達が月夜の説得に成功することを祈るしかない。

「……月夜を……頼んだぞ」

呪力が尽きたアシュタルはその場にがっくりと両膝をついた。

「……ぐぁっ……くそっ!何て強力な光球なんだっ!」

セインの精神をサンが送り込む為、ユートは三人を守る結界を一人で支えていなくてはならない。 その顔が苦痛に歪む。

「ユートッ!」

見かねたサンが結界を展開させようとするが、

「セインッ!」

セインがサンの手を取り、結界の発動を中止させる。

「……ユートを信じろ」

しかし、彼の口からは隣りにいるサンにも聞こえるほどの歯列がずれる音が聞こえた。

セインもこの状況に必死に耐えているのだ。セインにも、サンにもユートを手助け出来るだけの余分な呪力はもう無い。サンもセインも精神を送る際にかなりの呪力を消費するからだ。万一、呪力が足りずに月夜の精神に、セインの精神が送れなければ皆が死ぬ。

三人は月夜の肉体の側にまでやってきた。

サンに視線を走らせるセイン。 すでにサンも目を閉じ精神集中に入っている。

「セインッ!」

サンの瞳が見開かれた。セインの手を右手で取り、左手を月夜の胸に当てる。

「やるわよ。準備はいい?」

「時間が惜しい。早くやれっ!」

セインが叫んだ次の瞬間、彼の体は崩れ落ち、その精神は月夜の心に侵入した。