ホワット

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銃9

銃9

「ぐ……ぐくうう……」

「お……おお……」

「く、くそっ!……」

羅刹、アシュタル、ユートの体力、呪力は最早限界であった。

いや、限界など、もうとうの昔に通り過ぎている。まさしく気力だけで持っていたのだ。

そして、その気力も限界を迎えようとしている。

ビキビキビキビキ

「く、くそぉぉぉ!」

ユートの杖が悲鳴をあげるように音をたてはじめる。

そして、杖の先端部分が結界の力に耐え切れずに崩壊する。

遂に、結界が消失し、その圧力が三人の体を襲う。

(もう駄目だっ!)

ユートは観念し、ぎゅっとその瞳を閉じた。

「…………ん?」

しかし、結界の圧力はユートの体を襲ってはこない。

いや、体が落下し始めていたがサンがユートとセインを飛翔呪法で宙に浮かばせていた。

月夜もアシュタルと羅刹に抱えられており、無事のようだ。その表情から月夜の命も助かったのであろう。

 「セイン……これから一体どうするん……」

 セインの方を振り向いたユートの表情が驚愕に歪む。

 アシュタルと羅刹はセイン等が無事なのを見ると、

 「アシュタル」

 「わかっている。月夜に手は出させんっ!」

 強い口調でそう言い、戦闘態勢に入ろうとするアシュタル。

 羅刹はまだ目覚めぬ月夜を抱きかかえながら剣を抜く。

 しかし、ユート達の様子が変だ。

 「セイン、セインッ!しっかりしろっ!」

 ユートの悲痛とも言える叫びが二人の耳に届く。

 サンもその場に座り込み、顔を覆っている。

 「アシュタル、月夜を頼む」

 羅刹は月夜をアシュタルに託し、ユート達のもとに警戒しながら歩き始めた。

 「……ん……」

 アシュタルの腕の中で月夜はその意識を取り戻した。

 「目が覚めたか」

 アシュタルは月夜に微笑みながらそう言った。

 「羅刹さんはどうしたの?」

 月夜はアシュタルの尋ねるとある場所を指差した。そこでは羅刹が天を仰いでいる。

 月夜はアシュタルの腕の中から飛び降り、羅刹の元に駆け出した。

 「あ、待て、月夜!」

 以外な月夜の行動に虚を突かれたアシュタル。

 胸騒ぎがする。月夜は息を切らしながら、

 「羅刹さん」

 呼びかけたが羅刹は反応しない。ただ天を仰いでいるだけだ。

 視線をユート達に移す。

 ユートが激しく揺さぶるセインの体に反応はみられない。

 セインの精神は呪力の多大な消耗によって、ずたずたに破壊されていた。

 こうなってしまっては、回復呪法はもちろん、『死人返り』でも蘇られない。肉体があっても、精神が砕け散ってしまっては、生き返らせたところで『ゾンビ』同然だ。

 「セエイィィィィィンッッッッッ!」

 ユートの叫びのみが砂漠にこだまする。

 「あたしがやってみる」

 月夜は毅然とした態度で進み出た。

 「……駄目だよ。精神が崩壊してしまったから、『死人返り』をやっても無意味だよ」

 ユートは弱々しく首を横に振る。

 しかし、月夜は、

 「あたしの中に、あの人の心はまだ生きているかもしれない」

自分の胸に右手をあてて、セインの胸に左手を当てる。

 「諦めない、って彼から教わったんだから、その彼が精神崩壊したくらいで諦める訳が無い」

 月夜は強い口調で言い切る。

 「絶対に、諦めない」

 月夜は精神の増幅をし、セインの肉体に彼の精神を送り続けた。

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