68
68
「それともう一つ。誰が奴の説得に行くか、だ」
「……君か、アシュタルしか適任者はいないわけだな」
羅刹の呟きに対し、アシュタルは、
「決まっているっ!俺が月夜を……」
「アシュタル、待て」
興奮するアシュタルを遮る羅刹。
「羅刹、お前といえどもこの役は渡さん、月夜の説得には……」
「この場に居る者の中で、最も月夜の光球を破壊できそうなのは誰だ?」
羅刹の言葉にアシュタルは一瞬沈黙する。
このメンバーの中で最も攻撃力の高い人物は他ならぬアシュタル自身だからだ。
「それはもっともだが……お前では月夜の光球内では……」
羅刹は頷きながら、
「騎士である私では結界は張れんから、論外だ。ユート君に結界を張ってもらっても、私は呪力がないから、彼女を通して精神を送ることは出来ない」
落ち着いてアシュタルに語り掛ける。
「私の言いたいことはわかるな?」
アシュタルは苦々しい表情で、
「月夜の命の狙うこいつ等に説得させるというのかっ?!」
セインを睨み付ける。
「月夜の命を狙う奴等など信用できるかっ!」
「しかし、セイン君とユート君のどちらかと、私だけではあの光球は破壊できまい。そして、お前一人では、あの光球内部の衝撃を支えきれる結界を張れない」
羅刹は尚もアシュタルに語り続ける。
「彼等の目的は『死霊使い』の抹殺……だが、その理由はより多くの人命を救う為」
羅刹はそう言って、セインを振り返る。
「月夜を説得できなければ、多くの命が失われてしまう……やってくれるな?」
羅刹の問い掛けにセインは、
「わかった。全力を尽くそう」
静かに頷いた。
「ユート、結界はまだ張れるか?」